犠牲者たち

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ロングレッグスは、オレゴン州全土で38人を殺害し、11家族の人生を引き裂いた。犠牲者たちは皆善良な人々だった:誠実な父親たち、きちんとした母親たち、そして純真な幼い子どもたち。彼らは教会に通い、神を敬う、地域コミュニティーの立派な一員だった。このようなひどい運命には値しない人々だ。まずは彼らを称え、黙とうを捧げよう。


アップルホワイト家


オレゴン州ダマスカスに住むハーランドとパトリシアのアップルホワイト夫妻は、9歳の娘テレサと暮らす、典型的なアメリカ人家族だった。夫のハーランドは、チェズニー&サイフェルト会計事務所に所属する公認会計士で、妻で主婦のパトリシアとは、聖ボニフェス・ローマカトリック教会の復活祭礼拝で出会った。2人は1955年に結婚し、その後まもなく最初で唯一の子どもを授かる。幼いテレサは、周囲を明るくするような笑顔の持ち主で、蝶と毛虫に夢中でプリムローズ・レイン小学校に通っている。将来の夢は昆虫学者。しかし残念ながら、彼女にその機会が訪れることはなかった

1966年7月14日の夜、アップルホワイト一家はロードデンドロン通り3400番地の自宅で殺害された。当初、事件に疑わしい点は何もなかった。クラカマス郡保安官のロイ・ウィッカーは、ハーランドによる無理心中事件と断定した。しかしながら、友人、家族、同僚たちは、誰もハーランドがそんなことをするとは想像できなかった。皆、口をそろえて、彼は愛情深い夫、父親であり、安定と健全さの鏡のような人物だと言った。

ハーランドの妹、イヴァリーン・ダール夫人は「兄がやったと、一度も、一瞬たりとも信じたことはない」と述べた。

事件をさらに想像を絶するものにしたのは、その凄惨さである。パトリシアとテレサは、刃渡り8インチ(約20センチ)の肉切り包丁で刺殺されていた。検死官のヒューゴ・ポーティス医師によれば、「犯人はパトリシアの頸動脈を完全に切断し、それから胸部と腹部を20回以上刺した」という。幼い娘は殺される前に苦痛を与えられ、内臓は死後に取り出されていた。

ウィッカー保安官は、「私が目撃した中で最も陰惨な犯罪現場だった 」と公言している。さらに「犯人が誰であれ、非情な人物だ」と付け加えている。警察当局は、ハーランドの単独犯行であり、妻と娘を殺害したあと、持っていた12口径の散弾銃で自ら命を絶ったと結論づけている。




「ひとつだけ腑に落ちなかったのは手紙だ」とウィッカーは振り返った。

警察は、冷蔵庫に貼られた印が刻まれた手紙を発見した。それは奇妙でエキゾチックな記号の暗号で書かれていた。「手紙を解読できなかったのは確かだ」とウィッカーは記憶している。「筆跡はハーランドのものでも、他の誰のものでもなかった」 メッセージの中で、唯一暗号で書かれていなかったのは、一番下にあるきちんとした手書きの署名で、

ロングレッグス

手紙を解読できず苛立った警官たちは、手紙は重要ではないということにした。数年後、この事件がFBIによって再捜査されたとき、暗号メッセージが重要な証拠となることが判明した。




クローバー家

マーシャル・クローバーと妻のキャロルは、10歳の娘ミランダとオレゴン州エコーに住んでいた。彼らを知る周囲の人々によれば、幸せな家族だったという。1968年6月20日、その幸せは終わりを告げた。ワックスキャップ・ウェイにある彼らの白い板葺きの家は、いつも汚れひとつなくきれいに保たれていた。隣人たちは、キャロルを一流の主婦と呼んでいた。

「家は血まみれで、取り壊さざるを得ませんでした」と隣の家に住むマーリン・ブロッホは言った。「床も壁もシミが取れなかったのです」

ウマティラ郡保安官ジョン・スクワイアーズは、成功した旅行代理店経営者マーシャルによる無理心中事件と断定した。しかし数年後、スクワイアーズは、「納得できないところがあった」と認めている。「マーシャルを個人的に知っていたが、彼にあんなことができたとはどうしても思えなかった。あれほど残酷なやり方で」 犯行はアップルホワイト事件と同じような残虐さで行われたが、ひとつ加えられた要素がある。悪魔崇拝者を示す悪魔的なイメージである。

「あらゆるシンボルがあった」とスクワイアーズは言う。「血で書かれた五芒星に、獣の数字(666)。かなり悪魔的なものだった」 しかし、聖カシミール教会のメルヴィン・チャイルドレス神父は、マーシャルがいつも 「善良なカトリック信者であった」と断言した。マーシャルは教会の管理人を何年も務めていたという。この事件のすべてが当局を困惑させるものだった。

アップルホワイト事件と同じように、暗号文字で書かれた手紙が冷蔵庫に残されていた。手紙の最後にインクで下記の署名がされていた。

ロングレッグス

「アップルホワイト事件のことは知りませんでした。数年後にFBIが関与するまで、2つの事件を関連づける者はいなかったのです」



ペンダーガスト家

従業員のアーリーン・スタンハウスによれば、トーマス・ペンダーガストは「事件が起こる数日前から様子がおかしかった」と言う。「いらいらしていて、末娘が自分の娘ではない、というようなことをつぶやいていました」

食料雑貨店主のペンダーガストと妻のロレッタは、ロンダ(10)とルイーズ(9)という2人の女の子の両親だった。彼らは、オレゴン州シスターズのビーバートン通りにある白い2階建ての家に住んでいた。彼らを知る人々は全員、 「彼らは、“平穏で幸せな家族”」だったという。

そのため、1969年8月9日の夜、トーマスが大包丁で妻と娘たちの首を切断したことは衝撃だった。デシューツ郡のスコット・ワンプラー保安官は、その犯行現場を「ホラーショーだ。私が経験したなかで一番血みどろの現場だった」 遺体はダイニングルームの床に隣り合わせに並べられていた。死因はいずれも失血死だった。家族を殺した後トーマスはガレージに行き、レミントン1100型12口径の散弾銃で自分の頭を撃った。「事件そのものはかなり単純明快に思えた」ワンプラーは事件について語った。「唯一の例外は、あの忌々しいメモだ」

冷蔵庫でピンクの封筒に入った手紙が見つかった。暗号化されたアルファベットで書かれており、
メッセージの署名は...。

ロングレッグス

「他の手紙のことも知っていたら、何かがわかったかもしれない。もしかしたら奴を止めることができたかもしれない」 とワンプラーは残念そうに語った。だが彼らはトーマス・ペンダーガストによる無理心中事件と断定した。

クローバー家事件と同様、家の壁には五芒星が残されていた。「ああ、あれは奇妙な、悪魔的な混乱だった」 とワンプラーは痛ましい現場を回想していう。「度を越した大虐殺といい、悪魔的なものといい、憂慮すべき事件だった



ワームウッド家

1970年4月18日の夜、レスター・ワームウッドは弟のカーティスとその家族がオレゴン州ゲイロードのマリーゴールド・ドライブにある自宅で殺害されているのを発見したと、当局に通報した。マルトノマ郡廃棄物管理課の技術者カーティス(39)と、グロブナー病院の診療看護師ユージェニー(38)は結婚して15年だった。ふたりは、コーバリスのオレゴン州立大学の学部生だったときに出会い、大学時代の恋人で親友同士。卒業後すぐに結婚し、3人の娘をもうけた。ジュリア(14)、パトリシア(11)、シンシア(9)である。

ワームウッド家は 「近所の健全な一家」として記憶されていた。ウンプクア・リバー・バレー出身のカーティスは、カラポヤ山脈のハイキングが趣味で、ユージェニーは地元の動物愛護協会のボランティアとして知られていた。カーティスが肉切り包丁で妻と娘たちを殺すとは、誰も予想していなかった。家族を殺した後、カーティスは頭に一発撃って自殺した。遺体を発見したレスター・ワームウッドも6ヵ月後に自ら命を絶った。

「これまで自分たちが見たことのない事件を扱っていることは分かっていた」とクース郡警察のガース・フランクリン巡査部長は振り返る。フランクリンによれば、犠牲者は全員刺殺され、喉を「大きく切り裂かれていた」 殺害は「とりわけ野蛮な残酷さ」で行われた。刑事たちは、いったい誰がこれほどの仕打ちを犠牲者たちに与えたいと欲したのか、大いに困惑した。

家の壁は血で描かれた五芒星で覆われ、床には666の数字が描かれていた。悪魔的なつながりは明らかだった。

冷蔵庫のドアには暗号化された手紙が、虎のような形をしたプラスチックのマグネットで貼り付けられていた。手紙の署名は...

ロングレッグス

「あの暗号文を見て、ゾディアックのことを思い出した」とフランクリンは述べた。1960年代後半にカリフォルニア北部に出没したゾディアックキラーのことである。「しかし、それとはまったく異なっていた

「当時は、犯人が誰であれ誰かに家の中に入れてもらったのだと考えていた。そうでなければ、そこに住んでいた誰かが犯人だ」 ほどなく警察当局はカーティス・ワームウッドが自ら命を絶つ前に家族を殺害したと結論づけた。「カーティス以外の者がやったと考える理由はなかった。他に容疑者も共犯者もいなかった」

この付近で働いていた動物管理官のジャック・フィンプルは、シボレー・ノマドと思われる白いステーションワゴンをこの付近で見かけたことを覚えていた。「ここは閑静な住宅街です。よそ者は目立ちやすい



ヘッセ殺人事件

1971年3月12日の朝、オレゴン州オイスターヴィルにあるエルドリッチ・ヘッセ一家の白いダッチ・コロニアル住宅に警察が駆けつけた。前日にエルドリッチが職場に現れなかったためだ。到着した警官たちは「家から明らかな悪臭がする」ことに気づいた。

中に入ると、エルドリッチと妻のルベルタ、そして9歳の娘メアリー・キャスリーンの遺体が見つかった。一家の台所から持ち出されたギザギザの長いパン切りナイフで、それぞれ30回以上刺されていた。

航空管制官のエルドリッチは真面目な社員だった。3月11日に出勤せず、上司に欠勤を伝える電話もなかった。彼の家に電話しても一日中応答がなかった。警察が見つけたものは衝撃的だった

サニーリッジにあるラズル・ダズル・サロンの美容師、ルベルタはひどく殴られ、顔が認識できないほどだった。メアリー・キャスリーンの手足は切断されていた。2人の遺体は一家の地下室で、エルドリッチは主寝室でナイフで自らを刺した姿で発見された。法医学的検査の結果、彼は妻と子供の死から1時間以内に自殺したことがわかった。ペットのインコはケージの中で首を切断されていた

その後数週間、シウスロー・ロードの近隣住民は恐怖に駆られた。多くの人が自衛のための武器を準備し、なかには精神的な悪影響を受けた者もいた。長髪の背の高い男が近所をうろついているという情報や、悪魔崇拝のカルト集団が関与しているという噂が流れた。警察はこれらの噂やそのほかのいくつかの奇妙な説を即座に否定した。確かな手がかりがなかったためこの事件は無理心中事件と断定された。

エルドリッチ・ヘッセは突然の説明不能な激情に駆られて家族と自分自身を殺したと推定されている。明確な動機は解明されなかった。「なぜ彼がそんなことをしたのかわかりません」と隣の家に住むアール・ポメランツは言った。「まったく意味をなさないのです」。エルドリッチとその家族は、「善良なクリスチャンでした」と、悲しみの聖母カトリック教会のベネディクト・マッコマス神父は言う。「葬式には何百人もの弔問客がありましたが、なぜエルドリッチがこんな凶行に及んだのか誰も理解できませんでした」 マッコマスはオイスターヴィル・ガゼット紙にこう語っている。「これは悪魔の仕業かもしれない。私にはそれしか考えられません」

家の玄関のドアには、大きな逆三角形が直接木材に刻まれていた。裏口には獣の印-666-が刻まれていた。冷蔵庫にはピンクの封筒に入った暗号文が地元警察によって発見された。手紙の署名は...

ロングレッグス

また来週。悪魔の脅威を追う我々の調査は続く。



オングストローム家

ウォーレンとヴィヴィアン・オングストロームは結婚してほぼ10年。セーレム市裁判所の公証人であったウォーレンは、ウェスト・ステイトンのシェナニガンズ・レーンでボウリングをしているときにヴィヴィアンと出会った。2人はすぐに結婚し、エルクホーンに移り住んだ。夫妻は毎年春にはヤムヒル川での釣りを楽しんだ。一人娘のポリーは9歳で、ロニー・エラム小学校に通っており、無残に殺される少し前に今月の最優秀児童に選ばれていた。

娘は12インチ(約30センチ)の肉切り包丁で40回以上刺されていた。顔は死後に野菜ピーラーで削り落とされていた。ヴィヴィアン(34)は腹から骨切り包丁が突き出た状態で血の海の中で発見された。ウォーレン(38)はスクリュードライバーで両目をえぐり取った後、自分の手首を切っていた。

1972年11月17日未明、ベイロック通りのオングストローム家のドアをノックした巡回セールスマンからの通報を受けて、警官たちが駆けつけた。トラビス・ホプソン警部補は、「ウォーレン・オングストロームが犯人だとはまったく信じられなかった」と言っている。しかし、すべての証拠がそれを裏付けているため、事件は無理心中殺人と断定された。「誰か、あるいは何かが彼にそうさせたのだ。彼が自分の意志でやってはいない」 とホプソンは付け加えた。ウォーレンを知る者は皆、彼は普通の家庭人であったという。にもかかわらず、彼の家族に起こったことは、まったく普通ではなかった。


家の内壁は様々な逆三角形で飾られていた。枕元には、スコットランドの人類学者、サー・ジェイムズ・ジョージ・フレイザーの著書『金枝篇』が、187ページを開いた状態でベッドの枕元に置かれていた。冷蔵庫には、暗号メッセージが刻まれたバースデーカードがあった。カードへの署名は...

ロングレッグス

隣人たちが、事件の前の数日間、黄色い引っ越しのバンが通りを周回していたのを目撃している。「ある晩、『ジョニー・カーソン』が放送された後に見かけました」住民のアイダ・キャスは言う。「いったい誰が夜中に家具を動かすのかしら?」と思ったのを覚えていると。

今回の凶悪犯罪が本当にロングレッグス殺人事件のひとつであったとすれば、犯人はこの事件で6件目の殺人を犯したことになる。数年後、この事件が再捜査されたとき、FBIは、この犯行がロンレッグスにとって特別な意味をもっていた可能性があると指摘した。なぜなら「6は悪魔の数字だから



ウィアー家

ヘムロック警察は、1972年8月19日夜、明らかに無理心中とみられる4人の遺体が発見されたと発表した。ベックウィズ&ハロラン社のシステム管理者ジャスパー・ウィアー(36)は、妻エセル(32)と2人の娘たちヴェロニカとローズマリーを殺害した後、自ら命を絶った疑いが持たれている。

スワード・アンド・サンズ社でオフィス・コーディネーターとして働いていたエセルは、主寝室のバスルームで、ヴェロニカ(12)とローズマリー(9)の遺体は居間で発見された。娘たちはメイポーザー・ストリート・スクールの成績優秀な生徒だったという。親族によれば、ヴェロニカの将来の夢は宇宙飛行士で、ローズマリーは隣のワシントン州のケープ・ディサポイントメント灯台の灯台守になりたがっていたという。一家はハグ湖で水泳やその他のレクリエーションを楽しんでいた。

ヘムロック児童保護サービスは、娘たちが数日間学校を休んだため、ウィアー家を訪問するよう要請を受けた。彼らが警察当局に通報した。

物的証拠を収集した結果、ティラムック郡検視局はエセルと娘たちの死因は複数の刺し傷による大量失血であると断定した。法医学病理学者のドミニク・ウォルドロン博士は、「母親はちょうど66回刺されていた 」と述べた。

ヘムロック警察のコーディ・ハマン警部は、この殺人事件を 「地獄のようだ 」と表現した。彼は、この殺人は 「明らかに病んだいびつな精神の持ち主の仕業である 」と指摘した。オングストローム一家と同様に、ジャスパーのベッドサイドテーブルには『金枝篇』が、226ページをめくられた状態で見つかった。


グリマルディ・ウェイの白い2階建ての家は、以前と同じようにみられることは二度とないだろう。殺人事件が発覚した後、マウント・ゴルゴタの近隣は「動揺」していたという。近隣住民の多くは、数日前にウィアー家の前で老女を見たと証言している。また、ジャスパー・ウィアーは決してこんなことをするはずがないと言う人々もいた。隣人のミュリエル・フォガティは、「ジャスパーは暴力的な男ではありませんでした」「虐待の兆候を見たこともありません」と付け加えた。

ジャスパーは暴力的ではなかったかもしれないが、あの8月の夜は精神異常者のように振る舞った。彼の妻と娘たちは、あまりの残忍さに棺を閉じて埋葬された。ハマンはその殺人を 「儀式的」と表現した。

以前の殺人事件と同様、冷蔵庫には何者か(あるいは何か)のメモが発見された。署名は・・・

ロングレッグス

ハマンはこの手紙を「不気味」と評し、「暗号解読のために暗号の専門家にも連絡を取った」と主張した。ロングレッグス殺人事件はそれぞれ別の郡で起こったため、各当局間の連絡や協力はなく、数年後にFBIが事件を検証するまで「誰も関連性を見いだせなかった」



さらなる殺人が?

このあと、追跡は途絶えた。ロングレッグスは10年以上姿を消したようだ。殺人も、手紙も、狂った家族殺しも、10年以上もの長い間起きなかった。

当初は無関係の一連の無理心中事件であったが、現在では謎に包まれた異常な連続殺人犯の犯行である可能性が高まっている。次回の投稿では、ロングレッグスがまだ殺人を続けているのかどうかを明らかにする。



事件の進展

ロングレッグスを名乗る人物による暗号文によって結びつけられた8つの無理心中のような事件は、FBI捜査官の誰一人として見たことがなかった。セーレム犯罪捜査課のチェスター“チェット”・ヴァン・アダー特別捜査官は、「過去の事件をすべて調べ直さなければならなかった」と言った。ヴァン・アダーは、この仕事は特に大変だったと述べた。というのも、「関係した法執行官はほとんど引退しており、何人かはもう亡くなっていた」 1966年から1975年にかけての殺人事件の手口は、新しい事件とかなり似ていた。「謎でした」「どうやって犯行に及んだのか、みんな首をかしげていた」とヴァン・アダーは回想した。

「それでも、あの手紙は明らかに外部の加害者の関与を示していた。悪魔崇拝的な側面があることで、事件全体にさらに邪悪さが加わった」

1986年におこなわれたFBIによる法医学的分析は、事件現場に家族以外の指紋がないことを確認した。次に、筆跡の専門家はすべての手紙が同じ人物によって書かれたものであると断定した。同時にどの手紙も父親や家族の関係者が書いたものではないことを確認した。FBIはほどなく犠牲者家族の間に一切のつながりがないことを立証した。家族同士がいかなる形においても関係していないことを断定するために、すべての可能性を調べつくした。

「ロングレッグスと名乗る人物が相手だということはわかっていた。だが、それ以外のことはほとんどわかっていなかった」と、ヴァン・アダー。ロングレッグスと犯行を結びつける物的証拠はなく、ヴァン・アダーはこの事件と信頼できる手がかりの欠如に不満を表明した。「もし彼が残した手紙がなかったら、彼はほぼ、決してそこにいなかった」 FBI捜査官もお手上げ状態だった。

その時点で、ロングレッグスが再び殺人を始めるのは時間の問題だった



バニスター家

1987年10月17日の早朝、マルーア郡保安官事務所はクロウリーの町からの通報に応答した。そこでバニスター家の遺体、明らかに無理心中事件の被害者たち、を発見した。母親フランシスの遺体は、台所で丸頭ハンマーによって撲殺された状態で見つかった。娘のヴェロニカは寝室で発見され、やはりハンマーで殴られていた。父親のレジナルドはガレージで発見され、自分で撃った銃創で死亡していた。モスバーグの12口径散弾銃がそばにおかれていた。

亡くなった一家は “典型的なアメリカ人家族”と偲ばれた。クロウリー市の道路基準エンジニアであったレジナルドは、受勲歴のある元米海兵隊員だった。近所に住むアーノルド・グローテは、彼を“とても好感の持てる男”と評した。パクラ・インターナショナル・ホスピタリティのフードサービス・スペシャリストであるフランシスはオレゴン州ベンド出身。11歳のべロニカはフォルシダ小学校の人気者の6年生で、勉強にも熱心な、成長目覚ましい天才ピアノ少女だった。

故人たちは10月25日(日)、聖母訪問カトリック教会に埋葬され、グレゴリー・ダン神父が弔辞を述べた。葬儀には多数の弔問客が参列した。ボラン&リード葬儀社のマーティン・ヒープ葬儀ディレクターは、この葬儀を 「今まで見た中で最も感動的なものだった」と語った。

ダッシュウッドレーンの家は数日間、黄色いテープで封鎖されたままだった。マルーア郡保安官事務所のメンバーは、連邦捜査局が率いる対策本部に加わった。FBI捜査官は事件現場でピンクの封筒に入った手紙を発見したという。その手紙は暗号化されたアルファベットで書かれ、インクで署名されていた。

ロングレッグス

「この事件は手口が違いました」セーレム犯罪特別捜査課のチェスター・ヴァン・アダー特別捜査官は言う。「犯人がハンマーを使った最初の事件でした」法執行官たちは、ロングレッグスが殺人に復帰した後、そのやり方が大胆になり、異なるタイプの武器を殺しに使うようになったと推理した。



ガディス家

ハドナット社のコンプライアンス・オフィサー、エドガー・ガディスと裁判所速記官の妻ラモーナは、オレゴン州チェリーハイツに住んでいた。13歳の娘ヴァレリーはヘンリー・ハッグ中学校の生徒だった。1989年2月12日の夜、エドガーは肉切り包丁で家族を殺し、そのあと自殺したと言われている。

ヴァレリー・ガディスの頭部は身体から取り外されていた。母親のラモーナの腹部からはキッチンハサミが突き出ていた。「かなり奇異な光景で、これまで遭遇した中で最悪の犯罪現場のひとつだった

ガディス一家は翌日曜日、司教・殉教者聖アダルバート教会に埋葬された。礼拝はエロール・ガーヴァー司教が司式し、ションデル・ファミリー葬儀社が手配した。ガーヴァーは、この殺人事件は“大いなる悲劇”であり、一家の死は“地域社会にとって恐ろしい損失”と語った。

借りていたVHSビデオカセットを返しに、チャウンシー通りの家を訪れた隣人のリリー・ニーデンファーが、遺体を発見した。「ドアをノックしましたが、返事はありませんでした」「鍵がかかっていなかったのに気づいて、押し開けて中に入りました」 彼女が目にしたものは、控えめに言っても心をかき乱す不穏なものだった。「それ以来寝ていません」とニーデンファーは言った。彼女はすぐにワスコ郡保安官事務所に通報した。

保安官代理たちは冷蔵庫の上に手紙を見つけた。レベッカ・セイス保安官代理によれば、「見た瞬間、それが何であるかわかった」セイスが予想したように、その手紙には暗号化されたメッセージが書かれており、あの署名があった…

ロングレッグス

FBIの科学捜査専門家であるカール・マイア博士は、現場には家族以外の誰かと犯行を結びつける物的証拠はなかったと述べた。「これだけの量の血痕があれば、少なくとも靴跡が見つかると思うでしょう」 しかし、DNAの証拠も指紋も一切残されていなかった。「ロングレッグスが几帳面なのは知っていました。彼は家に入った形跡を残さなかった」検死後も、新たな手がかりは得られなかった。

ヴァン・アダーはガディス殺人事件の直後に引退し、後任のウィリアム・J・カーター特別捜査官に事件を引き継いだ。

「仕事で一つ後悔があるとすれば、あの忌々しいロングレッグスを捕まえられなかったことだ。彼は私がこれまで出会った中で最も病的で卑劣な殺人者だ」とアダーは語った。

アバドンヒルズ自警団のメンバーは、自分たちが確かな手がかりを掴んだと信じていた。住人の中に、ガディス家の向かいに茶色のフェイクウッドパネルのついた白いステーションワゴンがとめられているのを見たという人がいた。「シボレー・カプリスのように見えました。70年代初期のモデルです」とレン・マトゥゼックは言った。FBIはこの車についてコメントしていない。



ホーン家

マルトノマ郡保安官事務所によると、1992年11月14日、トラウトデールで一家4人の遺体が発見された。明らかな無理心中事件であった。

ブランフォード・コミュニティ・カレッジの創作文芸講師であるカーティス・ホーンは、採血専門看護師の妻テレサの首を切断し、娘のメアリー(12歳)とキャスリーン(9歳)を浴槽で溺死させたと言われている。彼は、ボイラー室で3人の遺体を奇妙な形に配置したあと、ガレージに向かい、そこでスミス&ウェッソン社のモデル686リボルバー銃で自分の頭を撃ち抜いた。



テレサの遺体のそばで8インチの牛刀が見つかった。FBIの臨床病理医グレース・ピトック博士は、「犯人は非常に強い力を使ったため、刃が柄から外れていた」と述べた。

叔父がローカル10ニュースのレポーター、ケン・ランドリューに語ったところによると、一家は死後4日経ってから発見された。ダイニングルームのテーブルの上に、包装途中のプレゼントが置かれていたことから、ホーン一家はメアリーの誕生日の準備をしていたようだ。

ホーン夫妻はホルブルック・ドライブの家に12年間住んでいた。隣人たちは2人のことを熱く語ってくれた。カーティスはティーボールのコーチをし、テレサは聖アガサで手作り菓子を売るバザーの担当をしていた。2人の娘たちはティリカム小学校の人気者だった。ロングレッグスの他の被害者たちと同じように、彼らも模範的な市民だった。

ホーン一家は、バルタザール・ソーン神父の司式により、聖アガサ・カトリック教会に埋葬された。葬儀はグリーンゲーツ&ヤング葬儀社によって手配された。

いつものように、犯行現場からピンクの暗号手紙が発見され、ロングレッグスの署名があった。


読者の皆さんはどう思われるだろうか? なぜこれほど長い活動休止の後に、ロングレッグスは戻ってくることにしたのか?私なりの仮説はありますが、このウェブログを読んだ皆さんからの質問を歓迎します。info@the-birthday-murders.net までメールを送ってください。
次回の更新に、あなたの質問、意見、そしてヒントを掲載するかもしれません。

70年代にヘッセ殺人事件現場の近くで目撃された男の特徴と一致する、奇妙な人物のCCTV映像を送ってくれたオイスタービルのジャクソン・スミスさん、ありがとう。ロングレッグスはまた昔の場所に戻ってきたのでしょうか?皆さんの意見を待っています!



捜査

1985年にFBIがこの事件を引き継ぐと、すべてが変わった。まず、初めて当局は事件を公表することを決めた。バニスター一家殺害事件は世論の激しい憤りを引き起こすこととなった。FBIは犯人捜査専用の電話ホットラインを設置した。匿名での情報提供が許可され、犯人逮捕と有罪判決につながる情報には25万ドルの報奨金が提示された。その結果、一般市民から多数の情報が寄せられたが、有力な容疑者は見つからなかった。

捜査当局はロングレッグス殺人事件に関連して900人以上を取り調べたが、犯人は捕まらず、事件は未解決のまま今日に至っている...。


容疑者たち

何年もの間、何十人もの参考人がさまざまな法執行機関によって捜査されてきた。その中から有力な手がかりを2つ紹介する。


ウェイン・アレン・スタンプ

パーソンズ家事件の有力容疑者と目されているのが、ウェイン・アレン・スタンプという26歳の流れ者である。スタンプは1981年から1985年にかけて、少なくとも4件の少女暴行事件を起こした常習犯である。様々な場所を転々としてきた便利屋で、パーソンズ家に近い場所で働いていたことがわかっている。さらに複数の目撃者がガディス邸の外に駐車しているのを見たと言っている車とよく似た白い車を所有していた。

当初、当局によってパーソンズ家事件の参考人とされたスタンプは、1985年10月3日に拘留された。スタンプと犯行を結びつける物的証拠は何もなく、数日後に釈放された。

パーソンズ家事件から3週間後の1985年10月14日、スタンプは10代の少女に銃を突きつけて誘拐しようとした。少女が叫ぶのを止めないため、彼はその場から逃走した。

ウェイン・アレン・スタンプは、公式にロングレッグス殺人事件の容疑者から除外された。


オレル・リンシュ

バニスター家事件の容疑者は連続殺人犯オレル・リンシュ(49)で、事件当時オレゴン州ローマでアイスクリーム売りをしていた。

リンシュは1966年夏にアイダホからオレゴンに移ってきた。彼は1967年から1971年にかけて4人の少女を殺害した容疑で逮捕された。彼は暗号とコードに取り付かれていたと言われ、そのうちのいくつかが彼の所持品から発見された。

さらに、悪魔崇拝者であることを公言しており、1960年代から70年代にかけて、オレゴン州の海岸沿いで何度か悪魔崇拝のカルトを設立しようとしたこともあった。

リンシュはロングレッグス殺人事件で起訴されることはなく、事件へのいかなる関与も激しく否定した。彼は何度も捜査当局に対して嫌疑を晴らそうとさえした。

1991年3月の出所後、リンシュは行方不明となり、その足取りは途絶えた。彼は完全に地上から姿を消したかに見えた。そして1992年末、ポートランド郊外のインターステイト高速道路5号線(I-5)沿いの暗渠で、うつぶせに倒れているリンチの遺体が発見された。死因は後頭部への鈍的外傷と後に断定された。加害者は現在も逃走中である。

その後、オレル・リンシュはロングレッグス殺人事件の容疑者として公式に除外されている。


つながりと偶然

犯行にはいくつもの共通点があり、ロングレッグスの手口の立証に役立ち、身元を知る手がかりになるかもしれない。


読者からの投稿

  • 「どれも公になっていない情報なのに、どうしてあなたはこんなに知っているのですか?」 - ドン・エイブラハム
  • ドンさん、いい質問ですね。私は法執行機関にいる知り合いから、事件のファイルにアクセスする機会を得ました。限定的なアクセスを通してできる限りの情報を引き出しています。


  • 「犠牲になった家族は全員信心深く、幼い娘がいる。どの家族にも男の子はいなかった。どうやら花開こうとしている命を摘み取るかのように、娘たちの誕生日が狙われているようだ。[...]なぜ彼が一時期犯行を止めたかについては、おそらく次の家族を慎重に選んでいたのだろう。彼は衝動的ではなく、非常に几帳面で、計算高い。私の一考ですが」 - ジョージ・ステゴール
  • ロングレッグスはいつも愛娘のいる家庭を(決して息子ではなく)選んでいます。これは明らかに意図的な選択ですが、なぜでしょう?どの家族も幸せで、周囲に順応していたと言われています。どの家族も関係が悪かったとは言われておらず、また、どの女性の被害者についても夫に接近禁止命令を求めたという記録もありません。いずれも長年の虐待が暴力的な結末に至ったケースではありません。

  • 「おそらくこの男、ロングレッグスは、父親たちに自分が娘の父親に値しない、あるいは娘の実の父親ではないと確信させたのだろう。何かとても説得力のある方法で」 - ジェイミー・ガスヴィック
  • 興味深い説ですね。でもどうやって?ロングレッグスは、入念に行動する人物のようですが、呪術師ではありません。でも、とても良い指摘だと思います。まさにこの数年間、私や法執行機関を悩ませてきた疑問です。

  • 「もしかしたら、ロングレッグスは一人ではなく複数の人間だと思いますか。あなたの説はどうでしょう?私はカルト集団かもしれないと思っています。たくさんの人をあんな風に殺すなんて、たった1人ではかなり大変そうです」 - チェルシー・マウリー
  • 私もよく自問する質問です、チェルシーさん。ロングレッグスには共犯者がいたのか?それとも単独犯なのか?ウィアー家に現れた老女は誰だったのでしょうか?ジャクソン・スミスが見つけたCCTVに映っていた人物の正体は誰なのでしょう?

  • 「ロングレッグスはカルトの名前で、殺人は複数の無名の人々によって行われたと思う。一家心中に見せかけているだけ」 - エリカ・トレス
  • 悪魔崇拝のカルト集団犯人説は、地元の近隣住民や警察から出た仮説のひとつですが、立証されることはありませんでした。

  • 「多くの被害者家族はみな宗教を信仰しているようです、特にカトリックを」 - ケイシュ
  • 素晴らしい指摘です、ケイシュ。これは特異点で、注目に値するかもしれません。オレゴン州でローマ・カトリック信者を自認している住民はわずか14%なのです。

  • 「どうして犠牲者にはカトリックの家族が多いのでしょうか?犯人が小教区の名簿からターゲットを探しているとか?」 - カーラ・テリー
  • いい洞察ですね、カーラ。FBIは家族が所属する教区を相互参照しましたが、関連を見つけることはできませんでした。法執行機関は、犠牲者家族が所属する教会間のつながりを見つけられなかったようです。

  • 「私の質問は、事件当時、犠牲者家族の家の中に共通する持ち物があったのかどうか?です。」 - ルイス・ロドリゲス
  • いい質問です、ルイス。ほぼすべての事件で、亡くなった少女が持っていた赤いおもちゃのピアノが被害者の家で発見されています。

  • 「心理学に凝っている友人がいて、彼の説をあなたにシェアして欲しいと言っています。彼曰くロングレッグスの手紙は亡くなった父親たちがそれぞれ書いたもので、筆跡がすべて同じなのは、彼ら全員が解離性同一性障害を患っていたから。というのも“もう一つの”人格にコントロールされている時は、普段の自分とは異なる筆跡で書くことができるからだそうです。さらに、犠牲になった父親たちは皆、ロングレッグスを支配的な別人格として持っており、ロングレッグスがこれらの手紙を書き、男たちの意思に反して、愛する妻や娘にナイフやハンマーを叩き突きつけるよう強要したのだ、ということです」 - アイザック・マルティネス
  • 実に説得力のある理論ですね。でもこれほど多くの無関係の人間が同じ文字を書くというのは、ちょっと無理があるかもしれませんね。

  • 「彼は儀式のために戻ってきたと思いますか?またFBIの捜査官たちの名前は知っていますか」 - ブランディン・マクローリン
  • 私も捜査官たちもこの件について熟考してきましたが、ロングレッグスが不在だった時期と既存のオカルト儀式との間に関連性を見出すことはできないようです。現在捜査を率いているのはウィリアム・J・カーター捜査官で、1985年にチェスター・ヴァン・アダーからこの事件を引き継いでいます。

  • 「誕生日の前後に、家族や少女たちをターゲットにしているようですが、何か理由があると思いますか?被害少女たちのプロフィールに合う、別の被害者がいる可能性は?」 - クロエ・ヴェチェリオ
  • それは考えたこともありませんでした。クロエ、新鮮な視点をありがとう!


    このウェブ・ジャーナルの読者の一人が、いくつかの事件現場で「糊のついた猫かウサギの白い毛皮」が見つかったという噂を聞いた、と書きこんでくれました。(ありがとう、SpookFingerz!)私はこの事件を何年も追っていますが、このことについてはまったく知りませんでした!

    以下のVHSテープを送ってくれた、引退した元オイスタービル警察刑事のベンジャミン・ミラーにも感謝します。1989年、ヘッセ殺人事件現場の近くで目撃された不審者の特徴に一致する容疑者が逮捕され、取り調べのために拘留されたが、状況証拠がないため間もなく釈放された。捜査官たちは容疑者を追跡しようとしたが、すぐに彼が偽の身分証明書を提出していたことが判明した。提供された映像が容疑者の唯一の痕跡である。

    私自身にもいくつかのつながりと偶然があるので、以下に上げておきます。

    外部の武器が被害者の家に持ち込まれることはなかった。銃が使われた場合、その銃は常に父親が合法的に登録したものであった。ナイフが使われた場合は、家族の台所から持ち出された。ハンマーが使われた一件では、それは家族の工具箱から持ち出されていた。

    そのほか注目すべきは、すべての遺体が被害者の自宅内で発見されたことである。どの死体も捨てられたり、人里離れた“ゴミ捨て場”に運ばれたりはしていない。

    この件に関連する情報をお持ちの方は、さらなる質問や説についてお気軽にご連絡ください。



    熱心な読者の皆さん、どう思いますか? これは私たちがこれまで取り上げた事件の中で最も陰惨な事件ではないでしょうか?

    気の毒な家族たちはどうでしょう?父親たちが突然切れて、殺人狂になったのでしょうか? 信じ難いことだと思いませんか? そして、これらの犯罪はロングレッグスと名乗る一人のサイコパスによって計画されたものらしいという点については?

    それにしても、彼はどうやって父親たちに言うことを聞かせたのでしょうか? ロングレッグスとは何者あるいは何なのか? 彼は殺し続けるのか、それとも捕まるのか?

    私たちが知らない事件はまだあるのか? ロングレッグス殺人犯が多くの事件を起こしていることを考えると、まだ発見されていないより多くの犠牲者がいる可能性は十分にありそうです。

    これまでの投稿で書いたように、私はこの事件を何年も追ってきたので、既にいくつかの仮説を持っています。次の投稿でそのいくつかをご紹介します。

    それまでは、この事件の最も重要な事実を見失わないようにしましょう:
    ロングレッグスはこれまで一度も逮捕されていない

    そうです。彼はまだ外にいて、まだ逃走中で、夜の街を徘徊し、次の犠牲者を探し、次の衝撃的で凶悪な殺人を計画している...。

    だから、窓を閉め、ドアに鍵をかけることをお忘れなく。

    ロングレッグスはまだそこにいる。


    読者からの投稿

    近所で埋められていた奇妙なレコード盤のジャケットにロングレッグスが残した手紙のものに似た記号が書かれていることを発見して、送ってくれた匿名の読者に感謝します。私が連絡を取っている犯罪科学専門家は、そのレコードのオリジナル盤がプレスされた年代を1960年代半ばと推定しています。しかしながら、このレコードを制作したのは誰なのか、オリジナルの出所はどこなのかについての手がかりはありません。

  • 「なぜこのウェブサイトを作ったのですか?」 - クリスティ・カラス
  • 私は年々オレゴン州の地元警察の不甲斐なさに苛立ちを募らせてきました。彼らが十分な能力をもっていれば、もっと早く事態を把握できたはずです。最近FBIの知り合いから入手した限定的なファイルについて、ワールドワイド・ウェブなら、私が気づかなかったことに気づけるかもしれないと思ったのです。

  • 「他の家族が同じ運命をたどるのに、どれだけの時間がかかると思う?」 - マット
  • 決してそんなことが起こらないことを望みます。そのためにこのウェブログを作ったのですから。

  • 「1. ロングレッグスはカトリックを信仰する人々に恨みを持っている。たぶん彼は子供の頃に虐待を受け、それが原因でこのような家族をターゲットにしているのでは? 2.彼は行動を起こす前にしばらくの間、家々を物色していたのかもしれない。家族に気づかれずにどうやってやったのかはわからないが、それが一番理にかなっている。3. ロングレッグスが父親たちに手紙を送り、その手紙によって殺人を実行に移させたとしたら? 恐喝か何かかもしれない。父親たちに何をすべきか、手紙を置く場所を指示したとしたら?」 - ポーラ・グレブリカス
  • 2と3は、私がこれまで考えたこともなかった素晴らしい視点です!私も、彼がどのようにして家族の目を逃れることができたのかよくわかりませんが、少なくともワームウッド事件の現場近くでステーションワゴンが目撃されています。

  • 「ロングレッグスが意図的に公然と信仰している家族、特にカトリック宗派の家族をターゲットに選んでいることを、あなたが奇妙に思うかどうか知りたいです。それとは別に、彼が幼い娘のいる家庭をかなり気に入っているのは明らかですが、それが重要な意味を持つのかどうか。とにかく、これはすべて宗教的な側面からきていると言っていいと思います。いずれにしても彼はキリスト教関連の人物と、神が主権者だと信じる人々の傲慢さに深い憎しみを抱いているようです」 - メイク・ヘンリー
  • 確かにロングレッグスはカトリック教義を問題視しているようです。それには同意します。

  • 「教会が関与している可能性はありますか? この人たちはみんなキリスト教徒だったし、人は神の名のもとに非常識なことをするものです。たぶんロングレッグスは伝道師か司祭か、あるいはその他の宗教的な人物ではないでしょうか。だから彼は被害者家族たちから信頼され、彼らの心に入り込むことができたのでは。単なる仮説ですが!」 - イーサン・バーカー
  • 捜査では、被害者家族が通う各小教区のメンバーが徹底的に調べられました。その結果、すべての信徒と教会員への疑いは晴れています。また暴力性の有無に関わらず、犯罪歴のある神父は一人もいませんでした。

  • 「なぜ自殺の大半は、殺人に使われたもの以外の凶器で行われたのか?これは、すべての事件を見ていてずっと考えていたことで、その裏に何か意味があるのかどうか、とても気になっています」 - オーウェン・アミー
  • 私も皆さんと同じように、この事実を不思議に思っています。

  • 「ちょっと思いついたのですが、1974年から1987年の間に殺人があったのでしょうか? というのも、ちょうど13年間開いているので。悪魔的な連中には重要な数字かもしれない」 - ジェシカ・ニコル
  • ロングレッグスの不在と既存の悪魔崇拝の儀式との間に十分な関連性は見られませんが、再検討が必要なのは間違いないでしょう。

  • 「私は、ロングレッグスが過去の出来事を再現しようとしているのではないかと考えています。過去の無理心中事件で、息子だけが生き残ったケースに心当たりはありますか? 少なくとも最初の殺人事件の数十年前でなければいけませんが、確実な手がかりになるかもしれない」 - ドラゴンボーン123400
  • この件は、調べてみる必要がありますね、ドラゴンボーンさん。私が知る限り、この時期に捜査された無理心中事件は、すべて小さな女の子がいる家庭のものでした。

  • 「夫と私は、事件ごとに刺し傷の数が増えていること、家族にまつわる名前、あるいは名字の多くが聖書的なものであることに気づきました。アップルホワイト(禁断の果実のリンゴ)、ワームウッド(ヨモギ)、クローバー(聖書の中で唯一言及されているのは箴言16:24-25「上品な言葉はクローバーの蜜のようだ-魂には良い味、体には素早いエネルギー。無害に見える道もあるが、よく見なさい-それは地獄にまっすぐ通じている」)、ダマスカスは最初の殺人事件が起きた場所で、サウルがキリスト教徒を殺害する途中でイエスによって盲目にされた道でもあります。ほかにも似たような例があります」 - モーガン・ファシーノ・ブラウン
  • ロングレッグスが聖書からインスピレーションを得ていることには私たちも同意しますが、傷のパターンに関しては、その理由をほぼ理解できていません。残されたシンボルも確かに聖書的ですが、この視点を念頭に置いて、ケースを再検討する必要がありますね。

  • 「私はアイザックのセオリーに乗っかって、ロングレッグスが亡くなった家族の父親である可能性を提示したい。彼は起きたことに対して神を呪い、自分にないものを持つ人々の家を “清める”ために悪魔崇拝に傾倒したのだと思う。彼の妄想は家族を取り戻そうとするもので、この目的のために殺し、死者の霊の器となるのだと思う」 - エイブリー
  • 興味深いセオリーですね。妄想を抱いた危険な人物を相手にしていることには同意します。

  • 「こんにちは。ロング・レッグスは純真な家族を攻撃していると思います。悪魔崇拝のカルトは、生け贄のために純真な人々を標的にしますよね」 - テイラー・グレース
  • カルト教団の関与は疑わしいですが、ターゲットにされた家族がとても敬虔な人々だったというのは、興味深い共通点です。

  • 「容疑者の外見について、目撃証言はありますか?」 - テイラー・ピーターソン
  • 容疑者の唯一の目撃例は、ウィアー家の近くで隣人が目撃した老女だけです。

  • 「質問:ロングレッグスが男性だとなぜわかるのですか? もしかしたら女性かも?」 - クリス・ケーニッヒ
  • 厳密にはわかっていません。歴史的な前例に従えばロングレッグスは男性だと信じることはできます、というのも女性による連続殺人の記録はほとんどないからです。しかし、ウィアー家の外で目撃された老女が誰なのかという疑問は残っています。

  • 「ロングレッグスには惨殺された娘がいて、犯人は見つかっておらず、その結果追い詰められて、復讐のために他人の娘の命を奪った、のでは?」 - ドーン・フィリップス
  • オレゴン州で子供が殺された事件を調べて、この仮説に実体があるかどうか、また報告します。

  • 「心理学を勉強していて、この事件に興味を持ちました。彼は娘だけがいる家庭や、地域社会に適応している家庭を標的にしています。そして父親は全員銃で、一発で殺されている。つまり、彼の関心と怒りは女性と女児に向けられています。もしかしたら彼には、不実な妻がいて、子供/子供たちも実の子ではないのかもしれない。長い不在“冷却”期間は、本件とは無関係な罪で収監されていたのかもしれない。そして、いつもピンクのバースデーカードで、事件が誕生日に近い日に起きているのは、彼にも娘がいて、誕生日近くに亡くしたことを指しているのかもしれない。私は単独犯だと思う。親をコントロールする簡単な方法は、子供を使って脅すことで、そうすれば互いを拘束して意のままにし、なんでも言うことをさせられただろう。もうひとつの仮説は、被害者たちを制圧する別の方法があったのかどうか、ということ。なぜ、近所の人たちは誰も叫び声や銃声を聞かなかったのだろうか? この事件に関して、私が考えたことをいくつか書いておきます。ほかの手がかりが見つかって、早く捕まえられるとよいのですが」 - ダニー・ニュー
  • 隣人たちが一切争う音を聞かなかったことは確かに疑わしいです。しかし、この手の犯罪の多くは、人里離れた田舎町で起きています。彼の不在が短期間の収監にある可能性には同意しますが、この期間の逮捕記録を分析したところ、該当するものはありませんでした。

  • 「第2に、亡くなった少女たちが所有していた赤いおもちゃのピアノがそれぞれの被害者宅で発見されています。暗号化されたメッセージが音符や歌である可能性はありますか?視覚的には楽譜の行のようにも見えるし、文章のようにも見える。彼は歌の手がかりを残しているのでしょうか? 誕生日―特に子供の誕生日に―歌われるものは、ハッピーバースデーです。地元の音楽教師で、レッスンでピアノを配れる人はいますか? そのおもちゃはその時代にどこで売られていたのでしょう?マクドナルドのようなファーストフード的な子供のおもちゃだったのだろうか?」 - ケイティ・レイ
  • 音楽教師説は説得力がありますね。残念ながら、それを裏付ける十分な証拠は見つかっていません。可能性としては、ロングレッグスは女性ミュージシャンの卵に興味を持った可能性はありますが、そのつながりは私にも警察関係者にもわかっていません。

  • 「私が理解に苦しむのは、現場に残された他の物品についての記述です。具体的には、“ほとんどすべての事件で、亡くなった少女たちが持っていた赤いおもちゃのピアノが被害者の家で発見された”というものです。あなたは違うかもしれませんが、私はほぼすべての殺害現場に赤いおもちゃのピアノがあっただけでなく、それが自宅で殺害されて発見された子供の一人のものであったというのは少し奇妙だと思う。私はこれまで多くの少女たちとやり取りがありましたが、誰も赤いおもちゃのピアノを持っていませんでした。いったいどこからこのピアノはやってきて、どうしてこの少女たちが持つことになったのか?コンテスト、教会、犯人が殺す前に配ったのか?少女たち全員がピアノを弾くとしても、なぜ同じ赤いおもちゃのピアノを偶然無作為に選ぶのか?そんなことは起きない、無作為ではありえません。奇妙な偶然の一致のように思えます。それから、少しして犯人はピンクの封筒を使うようになりました。これが異質な点その2。そして第3に、怒りのレベルと殺害道具の選択が矛盾しています。通常、単独の加害者は1つの殺害方法を使い、必要に迫られるか、より残忍さが必要になった場合にのみ別のものに切り替える。それぞれの攻撃における暴力性のレベルを検討すると、まるでジェットコースターのように上がったり下がったりしている。これも意味をなしていない。彼の怒りはその残忍さに現れているが、殺人のたびに波があり、時にはマイルドになり、時には凶悪になる。全く意味が通らない、特に彼の動機が、何年もの間、誰も気にかけなかった/解読できなかった彼の手紙に関係しているとしたら」 - アレシャ・スティーヴンス
  • 事件における残虐性の波と流れは、法執行機関も首をかしげるもうひとつの要素です。ロングレッグス事件のような連続殺人事件の前例はありません。

  • 「警察は、後半の殺人(1987, 1989, 1992年の事件)を模倣犯や元のロングレッグスキラーに触発された者が犯行に及んだ可能性を考慮しているのだろうか」 - レオナルド・R・S
  • 同じ時期にオカルトに関連した殺人犯は数多くいましたが、科学捜査の結果、犯行再開後に残された手紙と、最初の犯行の筆跡は一致していました。

  • 「オレル・リンシュがロングレッグスの信奉者もしくは弟子、あるいは犯人のファンか模倣犯で、実際にロングレッグスに殺されたという可能性はあると思いますか? もしかしたら、ロングレッグスはリンシュが容疑者になっていて、自分の殺人の手柄を彼のものにしていることが気に入らなかったのでは?」 - アダム・フレイジャー
  • カトリックの家族全体が標的にされたこれまでの事件の傾向にまったく逆行する仮説ですね。彼が殺人に触発された可能性はあります。ですが、ロングレッグスの存在は、あまりにも長い間、世間から隠されてきました。それを陽の目にさらすのが私の目標の一つです。

  • 「オレル・リンシュはロングレッグスの正体を知っていたと思いますか? 彼はバースデーマーダーの名声を主張するどころか、関与を激しく否定し、容疑者リストから外すよう何度も求めた。まるで真犯人の手柄を盗むことで受ける怒りを恐れているかのように」 - ローガン・バーネット
  • リンシュがロンレッグスと協力していた、あるいは事件当時ロングレッグスを知っていたと信じる理由も兆候もありません。

  • 「リンシュがアイダホからオレゴンに移り住み、悪魔崇拝のカルト教団を“何度も”立ち上げようとしたが、失敗に終わったことは興味深いです。ロングレッグスと似たような罪を何度も犯したにも関わらず、ロングレッグス事件への関与を“激しく否定”しており、自分の手柄にしようとは全く考えていない。4人も少女を殺害しておいて、どうして出所できたのかわからないが、とにかく彼は出てきた。そして死んでしまった。リンシュは明らかにロングレッグスを恐れている。彼はカルト集団をつくろうとしたが、ロングレッグスはその前から、キリスト教的に言えば、悪魔的な“権力と君主的な”立場をその地域で既に持っていた。ウェイン・アレン・スタンプはオカルトに関与しているとは明言されておらず、ロングレッグスを恐れているようにも見えなかったし、リンシュと同じ最期を遂げることもなかった。つまり、ロングレッグスは自分が犯した殺人を非常に誇りに思っているのか、それとも何らかの理由で非常に個人的な犯罪のどちらかだ」 - トーマス・N
  • 繰り返しになりますが、リンシュがロングレッグスや被害者と接触した形跡は見つかっていません。“サタニック・パニック”が多くの連続殺人犯の動機に影響を与えた可能性はありますが、ロングレッグスもそうだとは限りません。

  • 「少し前からこのサイトを見ていて、この事件に関していくつか気になったことがあります。まず1つ目は、父親たちは自分の家族を殺したかもしれないが、正気であったわけではないと思います。殺人事件の大半が発生した70年代から80年代にかけて、音楽に埋め込まれたサブリミナル・メッセージにまつわる論争がありました。ロングレッグスは、これに触発されて、暗示やおそらく薬物を使った代理殺人を思いついたのかもしれません。そうすれば彼が家に入らずに済んだことに説明がつきます。不審な車が1台、CCTVの映像に写っている人物が1人、かなりユニークな人相が1人ということで、確かにロングレッグスは1人のようです。赤いおもちゃのピアノもとても気になりました。どのモデルか知っていますか? 特定の曲を演奏するのか、あるいは簡単にプログラミングやハッキングができるものなのか? 最後に、被害者たちは皆、表面的には家族円満を絵に描いたような家族でしたが、現実には完璧な家族など存在しません。これは死者を軽視しているわけでは決してありません!父親たちが虐待していたと言いたいわけでもありません。ただ表面上の家族の超完璧なイメージによって、より深いつながりに気づくことを妨げられているのかもしれません。
    正直なところ、この事件を通して、私は無神論者の家庭に生まれた、兄弟のいる無神論者でよかったと思います」 - イザベラ・モリス
  • 以前にも述べたように、地元のコミュニティー内や地域の犯罪報告書にも、被害にあった家庭で家庭内の問題が起きていたことを示すものはありませんでした。あなたの仮説は興味深いですが、私が先に言及したサタニック・パニックに少し染まりすぎているように感じます。

  • 「あなたは誰ですか? 私たちは名前も何も知りません。あなたがネット上では匿名でありたいのはわかるけど、これだけ知っていて名前を明かさないのは本当に変な気がする」 - ローレル・ライ
  • 私はただの友達の友達の友達。そして、その友達は私にここにいてほしいと望んでいる。


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    ᒕ Ω:—⊥⊂Lᒕ •ᒕ Ω:—⊥⊂
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